1 シーズン
7 エピソード
今度生まれたら
70歳になった佐川夏江は、夫の寝顔を見ながらつぶやいた。 「今度生まれたら、この人とは結婚しない」 自分の人生を振り返ると、節目節目でしてきた選択は本当にこれでよかったのか。 進学は、仕事は、それぞれ別の道があったのではないか。 やり直しのきかない年齢になって、夏江はそれでもやりたいことを見つけようとあがく。そんな時…… 今度生まれたら、とつぶやきながら、今をどう生きるかを考え始める夏江やとりまく人々を軽やかに描きます。 エリートサラリーマンだった夫とは決して仲が悪いわけではない。だが、今度生まれたら、別の人生を歩きたい。そんな思いが頭から離れないほど、あの時の衝撃は大きかった。 新聞に載った自分の名前の横に見つけた(70)。そうか、私は70になったのだ! そして思わずつぶやいた。「今度生まれたら」…… そして、これまでに何度かあったターニングポイントがよみがえる。 おりしも、夫と結婚するために振った男が、有名な園芸家となってテレビに登場する。 私はこれからの人生、世の中の役に立たずに生きていくしかないのだろうか…… 「そんたくが賢く生きる道」を信条に、周囲に合わせて生きてきた夏江の、本音丸出しのあがきが始まる。 人生いくつになっても、何が起こるかわからない。夏江の姉夫婦や息子夫婦にも転機が訪れ、夏江の心も、いつしか……