名もなく貧しく美しく
ともにろう者である1組の夫婦がさまざまな苦難を乗り越えて懸命に生きるさまを、これが監督初挑戦となる松山善三監督が愛妻・高峰秀子の主演で描き、絶賛を博した感動作。手話を猛特訓した上で感動的な名演技を披露した高峰は、第5回サンフランシスコ国際映画祭をはじめ、数多くの主演女優賞を受賞。映画も大ヒットし、1967年に続編が作られたほか、TVドラマで2度リメイクされた。 3歳のとき、高熱にかかって聴覚を失った秋子。寺の住職のもとに嫁いだ彼女だったが、戦後間もなく夫が急死すると早々に離縁され、実家へ戻る運命に。母親は優しく秋子を受け入れるが、姉や弟は彼女のことを厄介なお荷物扱いする。そんなある日、ろう学校の同窓会に出席した秋子は、そこで片山道夫というろう者の男性と巡り合い、2人は結婚。やがて秋子は妊娠するが、赤ん坊もやはりろう者になるのでは、という不安に駆られる。